インターネットを使った基礎基本の力を付ける授業風景
1ねんせいの「くりあがりのあるたしざん」 単元で
授業の経過
授業の前に
第1時、初めてのコンピュータの使い方
第2時、10までのたしざんで、ドリルの仕方
第3時、いよいよ本番
1,コンピュータの起動(各自)
2,プリント配布(集合)と今日の学習ページの説明
(インターネットのページをそのまま印刷すれば、その日のプリントになる)
(教材も教具も、テストも、応用問題も、みんなインターネットの中にある。それが学習する順番に並んでいる。学習のシステムを作ることがこれからのインターネット上のソフトウエアの課題になる。)
3,コンピュータによるテスト(各自)
4,各自のコンピュータを使っての学習(各自)
5,プリント配布(集合)
6,最後のテストと感想(各自)
7,感想発表(集合)
1問10点制限時間5分の条件での、授業の最初と最後の得点の変化
最初のテストの点 |
234点 |
最後のテストの点 |
331点 |
授業後の児童の評価
とてもおもしろい |
おもしろい |
ふつう |
つまらない |
まったくつまらない |
25人 |
5人 |
0人 |
1人 |
0人 |
「さいしょより じょうずになったようなきがする」(えりなさん)、
「ちっとむずかしかったけど とてもおもしろかった。」(ゆういちくん)
「いろんなさんすうがあって たのしかったです。」(たつやくん)
「むずいなぁー」(たくやくん)
「とてもおもしろかったよ。」(しょうやくん)
「終わりのテストで603てんもとれたのがうれしかったです。603てんはさいこう きろくです。」(かすみさん)
「せんせいがじょうずにおしえてくれてよくできるようになりました。ありがとうございます。」(あやかさん) 他
コンビニ授業
小学校の1年生三十三人がコンピュータの所へ急ぐ。インターネットを使って、一斉に繰り上がりのある足し算のテストを始める。テストが終わると、一人一人ドリルを始める。足し算や引き算のドリルはたくさん種類があって、繰り上がりのある足し算だけでも、二十八にも分類されているから、最初はどこをやろうかとか迷うけれども、何分かたつと元気な一年生がハッとするほど静かになっていて、みんなコンピュータに向かって勉強をはじめていた。
一月十九日、コンピュータの授業を全校の先生に公開した。授業をしているボクの仕事は、今日の学習は何なのかを子どもたちに知らせること。後は、コンピュータが問題を出して、答えに丸をする。三十三人の子どもに三十三人のコンピュータ先生がついているように学習が進む。「八+七」とちょっと難しい問題が出されると、コンピュータの画面に表示されるおはじきを二個動かして、十を作って答えを出す子もいる。コンピュータ先生は、子どもが分かるように、画面上におはじきまで用意してくれてある。ほとんど子どもは、これで学習が進む。担任の先生は、コンピュータだけでは手が回らないところでつかえている子に、児童と一対一で計算の考え方を教えてくれた。
授業の結果、学習の最初のテストの平均が二百三十四点、最後のテストの平均が三百三十一点と、一時間で成績も四割以上もあがった。授業の感想は、とてもおもしろかった二十五人、おもしろかった五人、ふつう0人、つまらない一人、とてもつまらない0人と、と子どもの評判もとても良い。最後には、「さいしょより じょうずになったようなきがする」(えりなさん)、「ちっとむずかしかったけど とてもおもしろかった。」(ゆういちくん)等々ふだんなかなかもらえないような嬉しい感想も、いっぱい書いてもらえた。
「授業のコンビニエンスストアを作りたい。」、その夜ボクはそんな夢を話していた。授業には、両極があって、一方は職人芸のような鍛えられた技を持った先生の授業。もう一方は、こうやればどの先生でもすぐ良い授業ができるという、コンビニで買うようにすぐ技術が手に入る授業。インターネットでそういう学習ページを作れば、誰にでも子どもに喜んでもらえる授業が出来る。
インターネットでの学習は時間や場所を選ばない。授業の次の日「おとおさんのインターネットで、がっこうでやったコンピュータのくり上がりのさんすうをやりました。それからおにいちゃんが4年生のしゃかいをしました」(ひろあきくん)という日記が届いた。
インターネットでの学習は、学校という枠を越えて誰でもすることができる。不登校の子どもも、地球の裏側にいる人も学習できる。そのうちに、一人一台のコンピュータを持って、自分の学習したいところを学習するときが来るだろう。そのときは、一週間に何日かは家で学習するのかもしれない。そのうちに様々なインターネットのページを使って、生涯学習を続ける時代が来るのだろう。えっ、そしたら学校はどうなるかって。きちんと教えてさえいれば(というところが肝心だけれど)、学校の必要性は増しても、無くなることはない。