運動会の季節になった。運動会もずいぶん様変わりしてきているが、まだしばらくは組立体操(一般に『組体操』という)はまだしばらく高学年の代表種目として行われそうだ。
何年か前のこと、運動会のあとの慰労会で校長がボクに「ちっとも練習しているふうではなかったけれど『組体操』をいつ練習したんだ。」と声をかけた。運動会は練習用に特別時間割が組まれるが、『組体操』を行う学年は時間外に練習している姿が見られることが多い。大きな声で「しっかりやれ」という声も出るから、「運動会らしくなったなぁ。」と感じるものなのだ。予定時間内に仕上げたいとボクたちの学年は思っていたし、大声も少なかったから、「あの学年は運動会の練習をやっているのか?」と思われていたらしい。
『組体操』の中でも、全員の倒立を揃えるというのは至難で、繰り返し練習することになる。でも、倒立はそれなりのコツがあり、上手に教えれば以外と簡単なのだ。たまに立った姿勢から勢いをつけて倒立をしているのを見かける。勢いよく回って、それを立っている人が受け止める。あまり勢いが良いと、受け止める人が怖くなってよけてしまって、背中から落ちるのも見たことがある。それではダメだと思う。
1,倒立は、まず、手を肩幅につく。
2,次が肝心なのだけれど、ついた手のまっすぐ上に肩をのせる。
倒立のできない人は、勢いをつけようと肩が手の真上に乗らずに、足の方へ引いてしまっていることが多い。倒立したときの姿勢になるように、手と肩を決めてしまうのが要点なのだ。
3,倒立が難しい子には、受け止める人も上図でなければだめだ。受け止める人は、足を引き上げるのではない。最初は担任が行うと良いけれど、まず、前足を肩のところへ軽く当てて、倒立したときに前には出てこないように止める。そして、腰骨を持って引き上げる用意をする。足は上がってくるのがたいへんだから、重心のある腰を持ち上げるようにするのが良い。
4,次に倒立する人は、肩の上にお腰を乗せるようなつもりで倒立する。足をなるべく肩の方に近寄せて、ちょんと腰を上げる。足は上がらなくて良い。腰を手と肩のまっすぐの上にのせる。手と肩の位置を垂直にしたまま、足で腰を跳ね上げて、肩のまっすぐ上にのせるのだ。
5,このとき受け止める人が腰をつかめればもう倒立はできたようなものだ。受け止める人は首だけ足が当たらないようによけながら、腰をよいしょとまっすぐ持ち上げる。
これで、手、肩、腰の倒立体勢ができるから、あとは足を肩に当てて曲がらないように注意しながら、足をまっすぐに立ててやると、倒立の完成だ。
最初から足を受け止められるくらい上図に倒立する人ならば、こうする必要はない。でも、うまく倒立のできない場合は、こうすると良い。肩の位置が決まって、倒立のとき手で歩かない子に対しては、腰を持ち上げるくらいの注意で、倒立ができるようになるだろう。
そうそう、この年の組体操は、「女子は4段の俵を止めないか。」と提案したら、子どもたちは「是非やらせてほしい。」という。ボクは「じゃ、練習で出来たらやるけど、できなきゃ中止だよ。」と妥協したんだけど、見事4段の俵を成功させた。結構、がんばる子どもたちだった。