学校のお化け


学校にはたいていお化けが住んどることになっとるようだ。
そこで、学校のお化けを探したら、あったあった。 化粧合板っていうのは、たいていどこかがお化けみたいに見えるものだけれど、 ちょうどうまいぐあいに玄関から教室へいく通り道の壁に、板が張ってあって、木目が目のようにみえるんだ。
こりゃあいいやって思って、朝の会で「お化けがいて、毎日形がちがっているようだ。」って話した。
そういう話を作るのは苦手なんで、 「勉強しない子がいて、授業をさぼって1人で通ったとき目の中に吸い込んでしまった。」 なんていう粉飾はしなかった。でも、みんな「うそー」「うそばっか。」 って言いながらも気持ち悪がったようだった。
6年生だってお化けは嫌いなんだ。
ところが、次の日から困ったことがおこった。 男子がそこを通るたびに、木目をたたいていくようになってしまったのだ。終いには飛び蹴りもしているではないか。
「おーい、止めてくれ、板が割れてしまう。あれはただの木目で、お化けじゃない。」 「この次は、飛び蹴りのできないところへお化けを探すから、やめてくれー。」
というわけで、僕は、お化けを守ることになった。