マッチとアルコールランプの授業
4年生の授業、始めてのマッチとアルコールランプ。
初めての理科室使用の理科。
マッチをすってアルコールランプに火をつける一時間の授業です。
これが、なかなか感動的です。
マッチがなかなかすれなくて、涙しながらやっと火がついて感激した子を見たのは十数年前のこと。
マッチを使ったことのある子は、もっと少なくなっています。それ以来、僕の定番授業の一つです。
新卒の先生に教えてあげたら、指導の先生から、「そんなことに時間をかけてしょうがない。」と言われたとか。
でも、子供の感激の姿を思い出して、今年もまたやりました。
最近は、学校ではチャッカマンとかいう大型ライターを使うことも多いようです。
(長野県の小学校ではボクの知ってる限りマッチばかり)。
でも、燃えてしまえばゴミにならないマッチは、環境に優しくていいと思ってます。
マッチの(正しい)すりかた
準備するのは、いたって簡単で、マッチ、アルコールランプ、燃えさし入れ(空き缶)。
黒板に「マッチのすり方のと、アルコールランプの使い方」と書いて授業の始まりです。
まず、マッチのすり方からです。
「知ってる。」ってすぐかすお君が言います。
「そう、家でやったことがあるのかな。でも、今日はマッチの正しいすり方の勉強です。」
「まず、周りに人がいないか、燃えやすいものがないか確かめます。」
始めての子は、ここでもう緊張します。
「次に、マッチを箱から出します。」
「このさきっぽが、火のつくところ。ここはあまりさわっちゃだめ。しけちゃうからね。」
「マッチ箱の向きを、燃えるところが上になるように持ちます。
下にしておいて、擦ったマッチの火がうつると大変ですからね。」
ここまで言う必要があるのかなあおおもいながら、いつも言います。
「次に、マッチも下向きに持って、
自分の方から下の向こうに向かって、マッチの先をマッチ箱の黒いところにこすりつけるんですが
マッチがゆっくりだと火がつきませんし、力が弱いと火がつきません。
マッチ棒が折れないくらいに強く、そしてシュッと早くこする。」
これがうまく伝わらないと、火がつきません。ここが、大事なところ。
「火のついたマッチは、下向きに持っていると、火が上がってきて熱いですから、火を横にするか、上にします。
火の付きが悪いようだったら、下向きにする。」
「そして、火を消して、燃えさし入れにマッチを捨てる。」
これだけ話しておいて、実際にやって見せます。
そして、いよいよ実験開始。
「班で、順番を決めてやってみて下さい。」
最初は、怖いし、強さがなかなか分かりません。中に知っている子がいて、知っていると鼻が高い。
なかなか火がつかなくて、という人がいて、手を持って火をつけました。そしたら次は、自分でできるようになる。
中には、火のついたマッチを下に向けていて、熱そうな顔する子もいます。
でも、話してあるからたいてい大丈夫。すぐに気がついて、マッチの向きを変えています。
「終わった班は、2回目をやって良いよ。」
といって、全員終わったら、次はアルコールランプです。
アルコールランプの使い方
アルコールは、とっても燃えやすいですから、こぼさないように気をつけて。
と、机か何かの上で火をつけて見せます。
それから、いよいよ使い方の話。
アルコールランプの話をしてから、火をつけます。
火は、横からつけます。上からつけると熱いですが、横からは簡単,
火をつけてみせると、アルコールランプの火の大きさに「おお」と声があがります。
「アルコールランプの上は熱いけど、よこは熱くない。」
と、手を横から近くまで近づけて、「みんなも後でやってみてね。」
「だから、消すのも横から、ふたをさっとかぶせる。」
と、ゆっくり近づけて火を消すと、ここでも「おおお」と声が挙がりました。
で、班毎に実験しました。
子供の感想
5段階評価で、(5)とっても面白かったが28人、(3)普通が1人、(2)余り面白くないが1人と、
とても評価の高い授業でした。
日記は又後日、ここへ入れる予定です。
勢いに乗って、次の時間は「べっこう飴作り。」を計画中です。
マッチの豆知識
歴史
マッチは、イギリスの薬剤師・ウォーカーが1872年に発明しました。
日本では、明治9年、フランスから清水誠が技術を持ち帰って、新燧社(しんすいしゃ)を作ったのが始まりです。
明治維新とともにマッチも入ってきたのです。
その後、大正時代には、世界の3大マッチ生産国になり、海外にたくさん輸出されました。
東洋的な桃や虎のマッチ箱のラベルは、このころ外国での受けをねらって生まれたのです。
マッチの種類
マッチは、どこでこすっても火がつく赤燐マッチや硫化隣マッチと、マッチ箱にこすりつけて火をつける安全マッチにわけられます。
赤燐マッチなどは、頭薬に発火材の隣が入っていて、どこでこすっても火がつくけれど、危険なものです。
これに対し、安全マッチは、頭薬には発火をしない燃えやすい薬だけをつけ、箱の側面に発火材を塗ってあります。
燃える部分と発火する部分とが分かれているので、安全なのです。
マッチの生産
マッチの軸木は、岩手産のサワグルミです。岩手で、マッチの軸に加工されているのです。
マッチの軸は、兵庫県へ運ばれます。マッチ工場は、大部分が兵庫県にあります。これは、神戸から大量に輸出するのに適していたという立地条件からです。
生産過程はほぼ自動化されており、幅2メートル、長さ12メートルほどの連続自動燐寸製造器により作られています。
そこで、軸はパラフィンに浸され、頭薬をつけられ、乾燥され、紙箱に詰められ、箱に側薬(発火材)をぬって、出来上がり。
参考資料:「愛蔵版・世界のロングセラー」、出版「小学館」