要望書
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2024年9月9日 はなのき友の会 所沢あさ子
阿智村七久里 リニア中央新幹線工事に伴う残土埋め立て計画地の 「ハナノキ湿地と周辺の里山里地は、生物多様性保全上重要な自然ですので地形地質の改変をせずに生物多様性の生態系を保全し遺してください。
阿智村七久里地域について 環境省は2016年「生物多様性の観点から重要度の高い湿地【重要湿地】
No244指定。同省は2015年「生物多様性保全上重要な里地里山【重要里山里地】」No20-7指定地しています。
七久里のハナノキ湿地周辺のハナノキ・ミカワバイケイソウ・フモトミズナラは「東海丘陵要素植物
です。かつて伊那谷が平であった頃の湧水湿地群で遺った貴重な植物です。
「東海丘陵要素植物」とは 伊那谷が平だった頃数百万年という永い間、中部東海地方という広い範囲に 高密度に形成され続けた湧水湿地群の中で氷河期、間氷期を経て遺った植物群を「東海丘陵要素植物群」と呼んでます。それらの植物は遺存種、地域固有種、絶滅危惧種で、七久里はハナノキなど3種もあります。
ハナノキ(ムクロジ科カエデ属)について
◆樹高30mにもなり、春の花・翅果(しか)・秋の紅葉も紅色の美しい樹木。雌雄異株。◆絶滅危惧Ⅱ類種(環境省/長野県)
◆分布は恵那山を中心として半径50㎞内の局所の湧水湿地に限られる。長野県では主に飯田下伊那で阿智村伍和備中原・上郷・七久里・春日。隣の飯田市竹佐・箱川・山本地域。
◆飯田下伊那ハナノキ毎木調査報告:2024年4月はなのき友の会実施(未発表)
【方法】・ハナノキの成木(樹高130㎝の幹回り15㎝以上)と若木の計測を実施し個体の位置を地図に落とす。
【結果】全体で成木546個体と他若木を多数計測し位置を落とす。
七久里・春日・竹佐・箱川地域は近距離にある。成木406個体と若木を多数計測する。その中で七久里は、10個体と若木が多数である。個体数は少ないが地域の要の位置にある。ハナノキにとっては日当たりが良く個体数がもっとあっても良いが、少ないのは仕方がない理由がある。水田の脇にあり日陰になるからで何度も切られている。例えば、中の1個体は切り株の直径130㎝より11本の萌芽木になっている。しかしハナノキで見れば他の個体群とお互の花粉を運ぶことできる近距離で自生している。
◆湿地性植物の美しいお花畑
七久里には他にもカザグルマ(長野県では飯田下伊那に生育地がありハナノキ湿地周辺に集中して生育)が6か所。・リョウノウアザミ・マルバミヤコアザミ・ミヤコアザミ・アギナシなど絶滅危惧植物やサワギキョウ・シロバナサワギキョウ・サワヒヨドリ・ノハナショウブ・ムカゴニンジン・コバギボウシ・ノカンゾウ・イヌエンジュなど生育しています。日当たりも良く飯田下伊那今は見られなくなった湿地性の植物で大変美しいお花畑になっています。ハナノキに囲まれ美しいお花畑と手入れされた田園風景を後世に遺すことはとても意味があることです。
◆ハナノキ湿地は開発で狭められている
現在あるハナノキ湿地は耕作地、廃棄物処分場、道路、公園などの開発で失い、あっても分断され、湧水の水抜きで乾燥し、富栄養化が進んでいます。点在する湿地群の植物群落はどこも違いどこか1か所遺せば長野県のハナノキ湿地を物語るというものではありません。僅か遺されたハナノキ湿地はどこも遺したい生物多様性保全上重要な湧水湿地の生態系があります。
◆謝辞並びにお願い
今までこの貴重な植物群を維持してきた方は、主にここで 農林業を営んできた方々です。これらの地域の方々に心から感謝を申し上げます。
どうか行政並びに地域・企業など様々な方々に理解とご支援をいただき、地形地質の改変を行わず、この地域の貴重なハナノキ湿地の生物多様性の生態系を保全してくださるようにお願いいたします。
はなのき友の会 所沢あさ子