二階のベランダの手すりから理科準備室へ向かって、わらなわが20本ほど垂らしてあります。それをつたわって、ヘチマが伸びています。勢いの良いヘチマは二階の手すりを乗り越えてさらに上に伸びようとしています。
毎年ヘチマは理科準備室の前で育てられますが、実は今年は種まきをしたヘチマが育っていないのです。というか、種まきをしたのですが、それよりもたくさんの苗が自然に何百と生えてきて、育ってしまったのです。
昨年の終わり、ヘチマの枯れた後のこと、準備室の前の細長い畑に、細長い溝を掘り、一年間育てられたヘチマの残骸を全部いけました。ヘチマが伝わった藁縄も、ヘチマの茎も葉っぱも取り残されたヘチマも、取って調べたヘチマのかすも、みんないけたのです。土はいけられたヘチマで盛り上がって、いました。来年耕すときにうまく耕せるか心配なほどでした。そこで、今年の春は牛糞から作った堆肥を一輪車5杯ほどかけて表面だけ耕しておいたのです。
春になると、ヘチマは出ずに草が生い茂ります。そこで、暖かくなってきてから草を手で抜くと、地面を割って、何百本のヘチマが芽を出したのです。もちろん種まきもしましたが、ビーカー1杯ほどの種はどこへ捲いたか分からないほどたくさんの芽が出てきたのです。
そして上から藁縄をつるしてやると、ヘチマはどんどん上に上がっていきました。その勢いの良いこと。
ヘチマの回りに草が生えるのでそれを取ってやるとそこから又ヘチマが生えてくる、というほど土の中にはヘチマの種が落ちていたのです。
ヘチマには連作障害というのはないのでしょうか。ここ何年もヘチマを育てていても毎年大きなヘチマが育ちます。
これというのも、育った植物はみんな又元の土に返すことと、育つための肥料をたくさんまいておいたためです。
植物を土に返すから、つちはたぶんミミズに耕されて、ほかほかの軟らかい土になります。これぞ有機農法。それに牛糞から取った堆肥を土が見えなくなるほどかけてある。土作りが良いから、ヘチマは自然に育つのです。毎日水をやったり、草取りを丁寧にやったりという日々の努力は無いけれど、一番肝心な土作りに力を入れると植物は良く育つのです。
堆肥は、人によっては、ホンの一輪車一杯だけ畑にまく先生もいますが、化学肥料と違ってたくさんまいても大丈夫です。しっかりと作られた堆肥は、手で触っても汚いと思いませんし、甘くて良い匂いがします。