飯田の春一度にやってくる。
高い山はまだ雪をかぶっている。でも桜も咲いている。雪山を見ながら桜が見られる。
桜だけではない、3月の終わりに梅が咲いて、4月の頭に桜が咲いて、水仙も咲く。
タンポポなや野の花も咲き乱れる。
2月梅、3月桜、4月桃なんてことはない。数週間の間に、春がまとまってやってくる。
飯田の桜は、一本桜が多い。川沿いの堤防に植えられた桜もあるけれど、一本桜が有名だ。
桜の、中でもソメイヨシノの寿命は40年とも50年とも言われる。
けれど飯田には何百年と咲いている桜がたくさんある。どうしてだろうか。
これには訳がある。
飯田は両側を3000m級の高い山に囲まれている。そして飯田市の標高は500m~700m。
山に囲まれているため、強い風が吹かないのだ。桜は年数を重ねると弱くなり、折れやすくなる。けれど飯田下伊那は風が弱いので、…そういえば飯田下伊那の最近の家には雨戸がない家が多い。これも風が弱いからだ。…だから、桜が折れずに、古い桜が残っているのだ。