東野の大獅子


獅子頭だけで、重さが30キログラムもある大獅子が、静かに寝ている。
後ろに山のような体がある。体長はは25mぐらいあるだろうか。中には何十人の人が入るはずだ。
その飯田の東野の獅子が7年に一度の目を覚ますのが今朝だ。(3月26日)
明日から、「祭りの年には結婚するな。」といわれるほど盛大な、飯田の「おねりまつり」が始まる。そのために起きるのだ。
お宮の近くまで行くと、法被(はっぴ)をきたおじさんたちが集まって行くところ、
「駐車場は無いですか。」と聞くと先を指さします。
指の先には【27日早朝より獅子が休息するため駐車禁止】と書いた広場があり、ロープが張ってある。
寛大だね。お祭りだね。獅子が来るより前に車は出そうと、隅の方へ止めさせていただいて、お宮へ上っていきますと 人がだんだん集まってきているところだった。法被を着た人だけで約300人の大人数。
中には法被の下にネクタイをした総責任者(プロバイダiida.cnet.or.jpの若社長) がいる。
「こんにちは。」、と声をかけると「一生に一度の大仕事。」という。本心でしょう。「大役、おめでとうございます。」
尺八のお師匠様がいるので、「尺八は吹きませんよね。」というと、 ちらっと胸の花を見せてくれた。どうも渉外のお偉い様のようだった。
カメラマンもいっぱい集まってきていた。赤い服を着たカメラマンは、 「使って良いよ。」と脚立を指さして、前の方へ出ていった。
責任者の挨拶があって、樽を割って、酒がふるまわれる。
おじいさんが、王様はお面の穴から真正面しか見えない、転ばないようにと、枯れ枝や小石をこっそりのけている。
「よーお」と、かけ声がかかって、さあいよいよ獅子起こしの始まり。
空いているところをと、獅子を東に見て、まぶしい朝日を獅子の後ろに見ながら待っていた位置がちょうど真っ正面。 獅子を起こす王様の後ろの位置で、 最高の見学場所になった。舞が始まると獅子の近くで取っていたTBSなどのカメラマンもいつのまにか私の周りに集まってきた。
祭りっていうのは良い。
そこにいるだけで、なんだかわくわくしてくる。
獅子が舞う。
獅子の中には何十人の人が入るけれど、頭を持つのは一人、その人が倒れないようにもう一人が後ろから支えているのが見える。 30キロの獅子を振り回すのはそう長くできるものじゃない。 知っているから分かることだけど、こっそりうまく、舞う人が素早く入れ替わる。
獅子が舞う。
また、激しく舞う。
7年の眠りから覚めて舞う。