大きな木を切り倒す話

読書の時間の話から


竜丘小学校には、図書館の司書の先生がいて、とても読書が盛んです。
で、その、読書の時間のちょっとした合間に、大きな木の話をしちゃいました。

村の南にはとても大きな木が生えています。
それはそれは、大きな木です。
木の枝には、鳥の家族が1000、住んでいました。
木の幹には、リスの家族が100、住んでいました。
木の下の穴には、熊の家族が3つ住んでいました。
まだまだたくさん住んでいました。でもそれは、だれも数え切れないほどでした。
動物たちはこの木がとても好きでした。

大きな木ですから、村中が日陰になってしまうのです。
村の人たちが洗濯物を干しても、なかなか乾きません。
米をつくってもちっとも取れませんでした。
そこで、村の人たちは、相談しました。
「あの木を切ってしまおう。」
村の人たちは、朝から晩まで、切りました。
でも、一日では切れません。
また明日切ろうといって帰りました。

木の中には、動物たちの会議室がありました。
木を切られてはかないません。
動物たちは相談しました。
「この木を切られないようにしよう。」
動物たちは、番から朝まで、修理しました。
木の切りくずを、元通りに木にくっつけたのです。
朝までに、木は元通りになりました。

この話は、この後が、3つに分かれるのです。
1,木が切り倒され、村が豊かになる話。
2,木がこのまま切られすにすむ話。
3,その他。
あなたは、どれが良いですか?
そのあと、多数決や子供の意見によって話を少し進めました。でも、終わりまでは行けなかったのです。

1は、動物の中に、直すのを手伝えない者がいて、人間に「切りくずを燃やしてしまえ。」と教えた(三国伝記:室町時代)とか、
夜半に相談する声がして「もし○○して切ったら、助からない。」と話しているのを聞いて(今昔物語;平安時代)、 最後は切り倒される話になります。
江戸時代にも、寺社林が開発のために燃やされたり倒されたりしました。明治になっても巨木は切り倒され続けました。
1のような巨木を切り倒す話は、開発に伴って作られていったのです。
でも、時代は変わって、自然の保護が言われる時代になりました。だから、木を切る話も新しいバージョンが生まれても良いように思うのです。
木を切らずに、人間も木も動物も昆虫もみんなうまくいく話はできないものかなあ。
参考資料:「歴史を読み直す 3 中世」(木の語る中世)朝日百科:朝日新聞社