もらいぶろ

遠足でさかのぼった、大井の話を、地域の人から伺いました。そのときの話から。

竜丘は、大井という井水を9km先の川から引いてきています。
むかし、といっても50年ほど前のこと、
竜丘では、その水を飲み水や風呂の水や田んぼの水にしていたのです。
井水は途中で水を使われると、竜丘まで来ません。
そこで、お風呂をたくにも、苦労したそうです。
お風呂をたく水も、貴重だったので、そうひんぱんにはお風呂をたけません。
近所でお風呂をたくと、もらい風呂に行きました。そのときの話。
今夜は、ぢいさんについて、お隣にもらい風呂に行きました。
おぢいさんが、
「おつかれでございます。ようおたきでございます。」
と言って、なかへ入っていきましたので、僕も続いて入っていきました。
少し立つと
「お風呂がわきましたので、お召して下さい。」
と、隣のおばあさんが言いました。
隣のおぢいさんが、
「春男君は何年生になったの。」
と聞きましたので、
「僕は4年生。」
と答えました。
そしたら、隣のおぢいさんが、
「一人で入ればいいのに。」
と言いました。
僕は、
「暗くておっかないでいやだ。」
と言いました。そしたら僕の家のおぢいさんが、
「よし、俺といっしょに入るか。」
と言いましたので、お家のおぢいさんと入りました。
二人はいると、お湯がこぼれそうに風呂桶いっぱいになりました。
お家のおぢいさんが、
「あてが天の川でなあ、あれが北斗七星で、しゃあくの形をしておる。」
と、星を教えてくれました。
そうしたら、お隣のおばあさんが、
「かげんはどうずら。」
と聞きに来てくれました。おじいさんは、
「上かげんだに。」
と返事をしました。
僕は、おじいさんより先に出て支度をしたら、となりのおばあさんが、
「お茶を飲んでいきな。」
といったので、まえすわったところにすわりました。
大根のつけものと、かぼちゃの煮たのと、おいしそうな豆の入ったせんべいがあったので、
せんべいを3つごちそうになり、急いで家に帰り、宿題をやりました。